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会社法改正 監査等委員会設置会社

2015年5月1日施行の改正会社法より、日本のコーポレートガバナンスがまた変わります。

変わると言っても、コーポレートガバナンス強化の一環として、新たに「監査等委員会設置会社」という株式会社の新たな形態が選択可能になるのです。これまで公開会社は、「監査役設置会社」と「委員会設置会社」の選択が可能でしたが、そこにまた一つ加わった訳です。

■委員会設置会社
「委員会設置会社」は、2006年5月施行の会社法にて制定(2003年に導入された「委員会等設置会社」に相当する会社形態)されたもので、業務を監督する取締役会と、業務の執行を行う執行役を置くことが義務付けられた会社形態です。「委員会設置会社」には指名委員会・監査委員会・報酬委員会の3委員会があり、各委員の過半数は社外取締役でなければなりません(各委員会は3名以上の取締役で構成)。
ここまでを読んでみると、ガバナンス効果が抜群かとも思えますが、実は抜け穴があります。

~ 人気が出なかった委員会設置会社 ~
まず、取締役は執行役を兼任できます(監査委員会に属している場合は無理です)。そのため、業務執行と監督とが完全には分離していません。そうは言っても、各委員会に少なくとも2人の社外取締役がいるのでは?とお思いでしょう。そこについても、実は、社外取締役が委員会を兼任できますので、最低2人の社外取締役が居れば足りることになります。馴染みの問題か?実効性の問題か?この制度を採用している会社は60社程度だそうです。

■監査等委員会設置会社
そこで新たに登場したのが「監査等委員会設置会社」です。この制度の下では、取締役3名以上(過半数は社外取締役)で構成する監査等委員会を設置し、取締役の業務執行を監査します。もちろん監査役・監査役会を置くことはできません。

~ グローバル かつ シンプル ~
グローバルなガバナンス形態は、一般に、業務執行機関(執行役など)と監督機関(取締役会など)が存在し、監督機関が業務執行者を選任するような形態をとっています。(業務執行と監督の分離) その意味では、「監査等委員会設置会社」はグローバルに近いガバナンス形態であり、かつシンプルであることから、多くの会社が採用するものと期待されます。監査等委員である取締役と、それ以外の取締役とでは任期(前者が2年、後者が1年以下)や選任手続きが異なり、前者が後者を選任することはないまでも、業務執行と監督が分離され、かつ、「委員会設置会社」に比べてわかり易い、良い制度だと思います。

~ 監査等委員会設置会社の不安要素 ~
ただし、監査等委員である取締役について条文を読んでみると、監査役と何が違うの?といった感じを受けます。確かに監査役の任期4年に対して2年と短い点は異なりますが、その他の身分保障はほぼ監査役と同じです。「監査役設置会社」との比較では、社外役員の最低数は3名(監査役2名+取締役1名:取締役は条件付で0名可)に対して、この制度では、社外役員数は2名で済むといった点以外に大差はなさそうです。

ん?会社にとってこれまで以上に都合良くできているだけ?これなら日本版コーポレートガバナンスコード(社外取締役2名以上)が制定されても社外役員数が少なくて済む・・・なども考えられますが、専門家の方々がいろいろと考え作った新しい制度です。採用予定企業も多いらしいです。暖かく見守っていきましょう。

~ 昔話 ~
昔は、会社の機関と言えば、代表取締役・取締役会・監査役の3つで、ガバナンス三権分立などと言っていました。商法時代の人間からすると、そちらのほうがシンプルでわかり易かった、と言った本音もこぼれます。

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