クラウド基盤の会計システムで実現できる海外現地法人の見える化 続編

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会計コラム

クラウド基盤の会計システムで実現できる
海外現地法人の見える化 続編

前回の寄稿では、クラウド基盤の国内製会計システムを海外現地法人に導入する場合の以下の3つの運用方法をあげました。

【リプレイス型】
現地のコアな会計システムとして仕訳入力から決算処理まで通常運用
【併用型】
現地会計システムとの併用で、仕訳明細を国内製会計システムにアップロードをすることで即時性・可視化を実現。
【BPO型】
会計処理の記帳代行を依頼している現地会計法人に国内製会計システムを利用してもらうことでリアルタイムでの業績把握を実現。

それぞれの運用方法には、メリットや留意すべき事柄があり、導入を検討されている企業においては、各々が直面している状況を見極めて最適な方法を選択する必要があります。

【リプレイス型】
現地のコアな会計システムとして仕訳入力から決算処理まで通常運用

1、税務・財務に対応
近年の海外子会社向けの会計システムには欧米・アジア圏を含む各国の税務にも適合したシステムもあり、海外現地法人が日本製の会計システムを財務・税務の両面でご利用いただるようになりました。さらに、クラウド基盤のシステムであれば海外現地法人の場所を問わずインターネット環境さえあればご利用いただけますので、現地で入力されたデータはリアルタイムで日本本社でもその内容を確認することができます。ただ、税務対応に関しては、全ての国々に対応している訳ではないので、各々のシステムがどの国に対応しているのか確認を行う必要はあります。

2,操作感の違い
海外現地スタッフが入力をする場合、ひょっとしたら日本製の会計ソフトの操作感に違和感を感じる方がいるかもしれません。例えば、SAPやORACLEを利用されたことがある方は、初めて使用した時に感じたちょとした違和感を思いだしてみてください。仕訳入力やアウトプット帳票など戸惑ったことがあると思います。逆もまた然りで、日本製のソフトには日本人の商習慣・感性が反映されているため、現地のスタッフには馴染みにくい箇所もあるかもしれません。

3,安心・信頼の導入サービス
海外子会社向けの会計ソフトを開発している企業は、日本語および現地言語に堪能なバイリンガルが主要都市に駐在していたり、必要に応じて赴いたりしています。なので、ちょっとしたソフトの使用感の違いは、日本で教育を受けたスタッフによる丁寧な導入操作指導で解消できる部分も多いと思います。

【併用型】
現地会計システムとの併用で、仕訳明細を国内製会計システムにアップロードをすることで即時性・可視化を実現。

実はこのケース非常に多く採用されています。日本本社においては、あくまで海外現地法人の財務状況を適切なタイミングで把握することに主眼に置かれています。

1,導入負担を最小化
この併用型の最大の特長は、海外現地法人のシステム・業務を変えることなく実施できる点です。 現地のスタッフは今までどおり現地のシステムを使用していただき、月次単位(頻度は企業によります)で仕訳明細データを出力していただきます。その出力データは現地スタッフ又は日本本社のスタッフのどなたでも構いませんので、クラウド上の会計システムにアップロードをし同期をとるだけです。この時点で日本本社では、海外現地と同じ状態で閲覧ができ、更に翻訳機能が付いているので摘要に書かれている内容も日本語で確認できます。

2,コストを抑えられる
現地のシステムを替えることなく、海外子会社の「財務データの見える化」および「子会社統制」を実現できるのはとても魅力的です。システム改修・変更といった大掛かりなものと違い、このケースは現地の仕訳データをそのまま取り込むだけです。したがって、この運用にかかる費用はクラウドシステムの使用料と日本本社のスタッフ向け若干の操作指導とマスタ設定費用くらいです。安いものであれば、月額数万円程度から始められます。

現地データの正確性は担保できないが
この方式は、あくまでもありのままを映しだすものですので、間違いを未然に防ぐとか・入力ミスを防ぐとか、システムが間違いを制御するようなものではありません。海外現地法人と日本本社のコミュニケーションの橋渡しとして割り切ってご利用いただいた方がしっくりときます。例えば、EXCELを使用して残高だけを現地とやり取りしていた導入前は、数値が合わないとその不明点の洗い出しに現地と何度も連絡を取り合っていたものが、導入後では、日本本社で仕訳レベルまで見れるので、この仕訳のここが違うと具体的に指摘できることで格段に業務がスムーズに流れるようになるそうです。

【BPO型】
会計処理の記帳代行を依頼している現地会計法人に国内製会計システムを利用してもらうことでリアルタイムでの業績把握を実現。

今現在、現地の会計事務所に記帳代行をお願いしている企業は少なくないと思います。会計事務所によってもそのサービスレベルは違い、仕訳明細まで提供いただけるところ、試算表しか提出いただけないところ、または連結決算用に集計する場合は別途費用がかかったりとすることはあろうかと思います。このBPO型については、全世界とはさすがにいきませんが、日系企業が進出している大半の国々には対応していますので確認してみてください。

1,記帳代行なのにリアルタイムに情報更新
仕組みは至って簡単で、記帳代行をされる会計事務所がクラウド基盤の日本製会計システムに入力していきます。ですので、日本本社もシステムのIDさえあればどこからでもログインをし自由にそのデータを閲覧・加工いただけます。特に連結決算のご担当者様も、海外現地会計事務所からのデータ待ちといった煩わしさは無くなります。

2,メーカー提携先のコンサルティング会社/会計事務所
この場合は、記帳代行先はどこもでよいわけではありません。会計システムのメーカーと提携したコンサルティング会社又は会計事務所に限定されます。多くのケースで現在ご依頼されている会計事務所から切り替えることとなると思われます。その際に、記帳代行以外のサービスを受けているのであれば総合的に判断する必要がありますので、記帳代行部分だけ切り離すことが難しいこともあり得ます。

3,これから海外に進出する際には!
新たに海外に進出することを検討している企業は、会計事務を現地会計事務所に記帳代行を依頼することが多いようです。立ち上げ間もなくビジネスが軌道にのるまでの暫定として活用しているケースもあるようです。ビジネスを軌道に乗せるには財務データの分析は欠かせません。そんな時にこそ、この「BPO型のクラウド会計システム」の効果は最大化されます。

このように、海外子会社の会計情報は大型ERPでしか情報共有できないというのは一昔前の話になりました。勿論、大型ERPならではのメリットもありますので、一概にどちらが正解・不正解といったことではありません。ただ、ユーザー側の選択肢は確実に増えており、海外子会社における会計情報の共有・統制において課題を感じている企業は、自社のニーズ・用途・予算にあったシステムを検討できるようになってきていることを是非知っておいていただきたいと思います。

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